【5分でわかる】急性腹症(激しい腹痛)になったら、まず知っておきたいこと

5分でわかる病気のこと

疑問

激しい腹痛のため救急車で搬送された患者「激しい腹痛があり救急車で搬送されましたが、まず知っておいた方がいいことは何ですか?」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

今までにない激しい腹痛があった時、どんな病気を考えたらいいのでしょうか?激しい腹痛の患者さんが、まず知っておいた方がいいことを、5分程度でわかるように簡潔に説明します。

腹部救急疾患の診療に日々携わっている私が、「急性腹症とは何ですか?」という疑問に答えます。

急性腹症とは?

本

急性腹症とは、急性に発症した腹痛の中で、緊急手術などの迅速な対応が必要なお腹の病気の総称です。つまり、急に腹痛があり、手術が必要になるような病気をまとめて急性腹症と呼んでいます。

急性腹症で頻度が高い疾患

  • 急性虫垂炎(盲腸):虫垂が腫れ、細菌感染する。
  • 急性胆嚢炎:胆嚢が腫れ、細菌感染する。
  • 急性胆管炎:胆管が閉塞して、細菌感染する。
  • 腸閉塞:小腸や大腸が閉塞する。
  • 消化管穿孔:胃、十二指腸、小腸、大腸などに穴が開く。
  • ヘルニア嵌頓:ヘルニア嚢にはまり込んだ腸が戻らなくなり虚血になる。
  • 憩室炎:憩室が細菌感染する。
  • 急性腸炎:腸の細菌またはウイルス感染。
  • 尿管結石:腎臓と膀胱をつなぐ尿管に石が詰まる。
  • 急性膵炎:膵臓が消化液で溶ける。
  • 腹部大動脈瘤破裂:お腹の大動脈が破裂する。
  • 腹部血管の閉塞:お腹の血管が閉塞して臓器が虚血になる。
  • 婦人科疾患:卵巣茎捻転や子宮外妊娠、卵巣出血、骨盤内炎症性疾患など。

代表的なよくある病気だけでもこれだけあり、他にも、心筋梗塞や大動脈解離、精索捻転など腹部以外の疾患が原因のこともあります。

急性腹症ってどんな症状?

腹痛

腹痛の問診で医師に伝えるべきこと

  • いつから?
  • ある瞬間突然痛くなったか?急に数十分かけて?ゆっくり数時間かけて?
  • どこが痛い?
  • 痛みの性状は?(鋭い?鈍い?)
  • どのぐらい痛い(何点/10点満点)
  • 他の症状は?(熱、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、血便はある?)
  • 痛みに波はあるか?持続したままか?
  • 痛みが良くなる・悪くなるのはどんな時?(食事、お酒、薬、姿勢など)
  • 既往歴や腹部手術歴

腹痛の診察ではこれらのことが聞かれますので、主治医に伝えましょう。女性の場合は、妊娠の可能性や月経歴も重要なので伝えましょう。こうした病歴から、ある程度疾患を絞り込むことができます。

例えば、突然痛くなった場合は、消化管穿孔や、腹部大動脈瘤破裂、腹部血管の閉塞、子宮外妊娠の卵管破裂などの可能性が疑われます。また、腹膜炎にまで進行すると、痛みに波がなくなり持続痛のことが多く、歩いくとお腹に痛みが響きます。

急性腹症はどんな検査をするの?

検査

腹部の診察で痛みの位置や強さ、腹膜炎になっているかどうかを確認します。そして、血液検査や尿検査、腹部造影CT検査を行い、診断していきます。腹痛の診断では、CT検査が役立つことが多いです。

腹痛を起こす疾患は多種多様であり、診断に苦慮することも多いのが実情です。これらの検査をしても診断がはっきりしないことがあります。病状が落ち着いていれば、経過観察します。お腹の中を確認する必要がある場合は、開腹して確認する(試験開腹)や、腹腔鏡で観察して確認する(審査腹腔鏡)を行うこともあります。

なぜ初診時に診断がつかなかったり、間違うことがあるのか?

初診時には胃腸炎と診断されたものの、腹痛が続くため違う病院に受診したら、急性虫垂炎と診断されたといったことはよくあります。急性虫垂炎の初期症状は胃腸炎と似ており、症状や検査所見からもはっきりしないことが多いです。1,2日経過すると、急性虫垂炎の特徴がはっきりしてくるため、容易に診断できるようになります。こうした現象が起きる原因は、時間経過によるところが大きいです。

急性腹症の治療法は?

家族

急性腹症で最も大切なことは、我慢せずにすぐに病院に受診することです。今までにない腹痛や、冷汗をかくような腹痛、突然の腹痛、歩くとお腹に響く腹痛の時は、早急に受診しましょう。救命し、重症化を少しでも減らすためには、早期診断による早期治療が重要です。

手術が必要な病態であれば、緊急手術の準備をします。腹腔鏡下手術は可能な病状であれば検討しますが、開腹すべきことも多いため、その場合は速やかに開腹手術を行います。

消化管穿孔や絞扼性腸閉塞(腸が締めつけられて閉塞する)は腹膜炎から、敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全(MOF)となり、生命の危機を伴うので、早急に緊急手術が必要です。敗血症性ショック(細菌感染よって血圧が低下し瀕死の状態)となることが多く、集中治療室(ICU: Intensive Care Unit)で呼吸や循環などの全身管理を行いながら原疾患の治療をします。人工呼吸器管理、緊急透析、エンドトキシン吸着療法など集学的治療を行うことで救命できるように全力を尽くします。

急性腹症のガイドライン

急性腹症診療ガイドライン2015(医学書院)が日本腹部救急医学会等から出版されています。個々の治療方法は病状によって異なることもありますが、基本的にはガイドラインに沿って治療を行います。
» 急性腹症診療ガイドライン2015はこちら

まとめ:今までにない腹痛の時には、すぐに病院に受診しましょう。

この記事のポイントをまとめます。

  • 急性腹症とは、急性に発症した腹痛の中で、緊急手術などの迅速な対応が必要なお腹の病気の総称です。
  • CT検査で診断できることが多いですが、診断がはっきりしないこともよくあります。
  • 急性腹症で最も大切なことは、我慢せずにすぐに病院に受診することです。
松下公治 写真

松下「急性腹症でまず知ってほしいポイントをお話ししました。病状や年齢、基礎疾患などによって、個々の治療方針は違ってきますので、主治医とよく相談することが大切です。」

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