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急性腹症(激しい腹痛)の原因とは?

急性腹症とは?

急性腹症とは、急性に発症した腹痛の中で、緊急手術などの迅速な対応が必要なお腹の病気の総称です。

つまり、急に腹痛があり、手術が必要になるような病気をまとめて急性腹症と呼んでいます。

急性腹症(激しい腹痛)で頻度が高い疾患

  • 急性虫垂炎(盲腸):虫垂が細菌感染し腫れる。
  • 急性胆嚢炎:胆嚢が細菌感染し腫れる。
  • 急性胆管炎:胆管が閉塞して、細菌感染する。
  • 腸閉塞:小腸や大腸などの腸管が閉塞する。
  • 消化管穿孔:胃、十二指腸、小腸、大腸などに穴が開く。
  • ヘルニア嵌頓:ヘルニア嚢にはまり込んだ腸が戻らなくなり虚血になる。
  • 憩室炎:腸管にできた憩室に細菌感染する。
  • 急性腸炎:腸の細菌またはウイルス感染。
  • 尿管結石:腎臓と膀胱をつなぐ尿管に石が詰まる。
  • 急性膵炎:膵臓が消化液で溶ける。
  • 腹部大動脈瘤破裂:お腹の大動脈が破裂する。
  • 腹部血管の閉塞:お腹の血管が閉塞して臓器が虚血になる。
  • 婦人科疾患:卵巣茎捻転や子宮外妊娠、卵巣出血、骨盤内炎症性疾患など。

代表的なよくある病気だけでもこれだけあり、他にも、心筋梗塞や大動脈解離、精索捻転など腹部以外の疾患が原因のこともあります。

急性腹症(激しい腹痛)の症状は?

腹痛の診察では以下のことが聞かれますので、主治医に伝えましょう。
女性の場合は、妊娠の可能性や月経歴も重要なので伝えましょう。

腹痛の問診で医師に伝えるべきこと

  • いつから?
  • ある瞬間突然痛くなったか?急に数十分かけて?ゆっくり数時間かけて?
  • どこが痛い?
  • 痛みの性状は?(鋭い?鈍い?)
  • どのぐらい痛い(何点/10点満点)
  • 他の症状は?(熱、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、血便はある?)
  • 痛みに波はあるか?持続したままか?
  • 痛みが良くなる・悪くなるのはどんな時?(食事、お酒、薬、姿勢など)
  • 既往歴や腹部手術歴

こうした病歴から、ある程度疾患を絞り込むことができます。

例えば、突然痛くなった場合は、消化管穿孔や、腹部大動脈瘤破裂、腹部血管の閉塞、子宮外妊娠の卵管破裂などの可能性が疑われます。

腹膜炎にまで進行すると、痛みに波がなくなり持続痛のことが多く、歩くとお腹に痛みが響きます

急性腹症(激しい腹痛)はどんな検査をしますか?

腹部の診察で痛みの位置や強さ、腹膜炎になっているかどうかを確認します。

そして、血液検査や尿検査、腹部造影CT検査を行い、診断していきます。
腹痛の診断では、CT検査が役立つことが多いです。

腹痛を起こす疾患は多種多様で診断に苦慮することも多く、こうした検査をしても診断がはっきりしないことがあります。
お腹の中を観察する必要がある場合は、試験開腹審査腹腔鏡(腹腔鏡で観察)を行うこともあります。

急性腹症(激しい腹痛)の治療法は?

急性腹症で最も大切なことは、我慢せずにすぐに病院に受診することです。

今までにない腹痛や、冷汗をかくような腹痛、突然の腹痛、歩くとお腹に響く腹痛の時は、急いで受診しましょう。
重症化を減らし救命するためには、早期診断による早期治療が重要です。
手術が必要な病状であれば、緊急手術を行います。

消化管穿孔や絞扼性腸閉塞(腸が締めつけられて閉塞する病気)は腹膜炎から、敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全(MOF)となり、生命の危機を伴うので、緊急手術が必要です。
敗血症性ショック(細菌感染よって血圧が低下し瀕死の状態)となることが多く、集中治療室(ICU: Intensive Care Unit)で呼吸や循環などの全身管理を行いながら原疾患の治療を行います。
人工呼吸器管理、緊急透析、エンドトキシン吸着療法など集学的治療を行うことで救命を目指して全力を尽くします。

急性腹症のガイドライン

急性腹症診療ガイドライン2015(医学書院)が日本腹部救急医学会等から出版されています。

» 急性腹症診療ガイドライン2015

当院で急性腹症の診療は行っていませんので、ご注意ください。

松下 公治

松下 公治

この記事は院長松下が執筆しました。鼠径ヘルニア・虫垂炎の【日帰り】腹腔鏡手術を専門に研究。外科専門医、消化器外科専門医・指導医、内視鏡外科技術認定医(ヘルニア)。

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