急性虫垂炎(盲腸)の治療:手術方法の比較

虫垂炎

疑問

急性虫垂炎の手術を検討している患者「腹腔鏡下手術を勧められたけど、開腹手術とは何が違うの?」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

急性虫垂炎の手術は、腹腔鏡下手術と開腹手術に大きく分けられます。それぞれにメリット、デメリットがあるものの、急性虫垂炎は緊急手術のことが多いため、どちらにするか選べないことも多いです。最も大切なことは迅速に手術することです。

多くの緊急手術を経験してきた、外科医の私が説明します。

急性虫垂炎(盲腸)における腹腔鏡下手術と開腹手術の違いは?

手術

まず、手術の共通点は、虫垂を根部(根元)で切って、虫垂を切除することです。虫垂根部の炎症が強くて切れない時は、大腸や小腸も含めて一塊に切除するしかないこともあります。

国際的なガイドラインでは、開腹手術よりも腹腔鏡下手術を推奨しています。その理由は以下のような利点・欠点があるためです。

急性虫垂炎(盲腸)における、腹腔鏡下手術の利点・欠点

腹腔鏡下手術では、小さい穴を開けてカメラの画像をモニターで見ながら手術をします。利点は、傷が小さく痛みが軽く、入院期間が短く社会復帰が早く、生活の質(QOL)が高く、術後の腸閉塞が少なく、傷の感染が少ない点です。欠点は、直接病変を触れないことや、手術の習得に少し時間がかかる点です。

急性虫垂炎(盲腸)における、開腹手術の利点・欠点

開腹手術は右下腹部を切る方法や、下腹部正中を切る方法など、いくつか方法があります。通常は右下腹部を斜めに切ることが多いです。利点は、手術時間が短く、腹腔内膿瘍の発生が少ない点です。欠点は痛みが強く、入院期間が長く社会復帰が遅い点です。

急性虫垂炎(盲腸)における、手術方法のまとめ

腹腔鏡下手術 開腹手術
傷口 0.2-1cmの傷が3ヶ所 数cmの傷
痛み 軽い 痛い
術後の癒着 少ない やや多い
入院期間 約3日間 約1週間

急性虫垂炎(盲腸)の治療オプション:低侵襲手術とは?

細径鉗子を用いた Needlescopic surgery

2-3mmの細径鉗子を用いることで(通常は5mmです)、傷跡を小さくし、痛みも軽減します。低侵襲手術の一つです。

単孔式腹腔鏡下手術

虫垂炎の腹腔鏡下手術では、通常3ヶ所穴を開けます。単孔式とは、穴が臍の1ヶ所のみで行う手術を指します。傷が臍に隠れるので、整容性に優れています。しかし、痛みが強く、傷の感染が多いことが欠点です。

急性虫垂炎(盲腸)の手術には、どのような合併症があるか?

手術に関連した合併症として、傷の感染、腹腔内膿瘍、出血、他臓器損傷、腸閉塞、腹壁瘢痕ヘルニアなどがあります。

全身麻酔に関連した合併症として、アレルギー、吐き気、のどの痛み、歯の損傷、せん妄、肺炎、喘息発作、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、肺塞栓症、悪性高熱症などがあります。

急性虫垂炎(盲腸)が術後に再発することがあるか?

基本的に再発することはありませんが、稀に断端虫垂炎を発症することがあります。わずかに残った虫垂が腫れることで発症します。

まとめ:急性虫垂炎に対する腹腔鏡下手術は、傷が小さく、痛みが軽く、社会復帰が早いのでお勧めです。

この記事のポイントをまとめます。

  • 腹腔鏡下手術の利点は、傷が小さく痛みが軽く、入院期間が短く社会復帰が早く、生活の質(QOL)が高く、術後の腸閉塞が少なく、傷の感染が少ない点です。
  • 開腹手術の利点は、手術時間が短く、腹腔内膿瘍の発生が少ない点です。
  • 急性虫垂炎の手術の合併症として、傷の感染、腹腔内膿瘍、出血、他臓器損傷、腸閉塞、腹壁瘢痕ヘルニアなどがあります。
松下公治 写真

松下「急性虫垂炎では、腹腔鏡下手術がお勧めです。病状や年齢、基礎疾患などによって、個々の治療方針は違ってきますので、主治医とよく相談することが大切です。」

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