急性虫垂炎(盲腸)における腹腔鏡下手術と開腹手術の違いは?
まず、手術の共通点は、虫垂を根部(根元)で切って、虫垂を切除することです。虫垂根部の炎症が強くて切れない時は、大腸や小腸も含めて一塊に切除するしかないこともあります。
国際的なガイドラインでは、開腹手術よりも腹腔鏡下手術を推奨しています。その理由は以下のような利点・欠点があるためです。
急性虫垂炎(盲腸)における、腹腔鏡下手術の利点・欠点
腹腔鏡下手術では、小さい穴を開けてカメラの画像をモニターで見ながら手術をします。利点は、傷が小さく痛みが軽く、入院期間が短く社会復帰が早く、生活の質(QOL)が高く、術後の腸閉塞が少なく、傷の感染が少ない点です。欠点は、直接病変を触れないことや、手術の習得に少し時間がかかる点です。
急性虫垂炎(盲腸)における、開腹手術の利点・欠点
開腹手術は右下腹部を切る方法や、下腹部正中を切る方法など、いくつか方法があります。通常は右下腹部を斜めに切ることが多いです。利点は、手術時間が短く、腹腔内膿瘍の発生が少ない点です。欠点は痛みが強く、入院期間が長く社会復帰が遅い点です。
急性虫垂炎(盲腸)における、手術方法のまとめ
腹腔鏡下手術 | 開腹手術 | |
傷口 | 0.2-1cmの傷が3ヶ所 | 数cmの傷 |
痛み | 軽い | 痛い |
術後の癒着 | 少ない | やや多い |
入院期間 | 約3日間 | 約1週間 |
急性虫垂炎(盲腸)の治療オプション:低侵襲手術とは?
細径鉗子を用いた Needlescopic surgery
2-3mmの細径鉗子を用いることで(通常は5mmです)、傷跡を小さくし、痛みも軽減します。低侵襲手術の一つです。
単孔式腹腔鏡下手術
虫垂炎の腹腔鏡下手術では、通常3ヶ所穴を開けます。単孔式とは、穴が臍の1ヶ所のみで行う手術を指します。傷が臍に隠れるので、整容性に優れています。しかし、痛みが強く、傷の感染が多いことが欠点です。
急性虫垂炎(盲腸)の手術には、どのような合併症があるか?
手術に関連した合併症として、傷の感染、腹腔内膿瘍、出血、他臓器損傷、腸閉塞、腹壁瘢痕ヘルニアなどがあります。
全身麻酔に関連した合併症として、アレルギー、吐き気、のどの痛み、歯の損傷、せん妄、肺炎、喘息発作、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、肺塞栓症、悪性高熱症などがあります。
急性虫垂炎(盲腸)が術後に再発することがあるか?
基本的に再発することはありませんが、稀に断端虫垂炎を発症することがあります。わずかに残った虫垂が腫れることで発症します。
まとめ:急性虫垂炎に対する腹腔鏡下手術は、傷が小さく、痛みが軽く、社会復帰が早いのでお勧めです。
・ 開腹手術の利点は、手術時間が短く、腹腔内膿瘍の発生が少ない点です。
・ 急性虫垂炎の手術の合併症として、傷の感染、腹腔内膿瘍、出血、他臓器損傷、腸閉塞、腹壁瘢痕ヘルニアなどがあります。
質問者 「虫垂炎になってしまいましたが、まず知っておいた方がいいことは何ですか?」 外科医 松下 「急性虫垂炎はお腹が痛くなった時に、まず考える病気で、基本的には手術をして治します。急性虫垂炎を数多く手術し[…]