急性虫垂炎(盲腸)はどんな症状でどう診断するか?

虫垂炎

疑問

右下腹部痛がある患者「右下腹部が痛みますが、それって急性虫垂炎(盲腸)ですか?どんな検査をしますか?」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

17年間、外科医として毎日のように腹痛を診てきました。

腹痛でまず思い浮かぶ疾患の一つが、急性虫垂炎です。症状や検査についてわかりやすく説明します。

急性虫垂炎(盲腸)とは?

まとめ

急性虫垂炎とは、虫垂の内腔が閉塞することで血流やリンパ流が障害され、細菌が増殖し虫垂が腫れる病気で、俗に盲腸と言います。内腔が閉塞するのは、糞石(便の固まり)、リンパ組織の過形成、腫瘍などによって引き起こされると言われています。生涯発生率は6-8%で、10-30歳に多く、腹痛の中で手術になりうる、最も頻度の高い腹部救急疾患です。

虫垂は大腸の一部で、右下腹部にある約5cmの腸管です。放置すると虫垂が腐って、穴があき(穿孔し)、便がお腹の中(腹腔内)に漏れたり、膿瘍を形成したりします。お腹全体に炎症が広がれば急性汎発性腹膜炎となり、敗血症性ショック、多臓器不全となり、命に関わります。死亡率は約0.2%です。

急性虫垂炎(盲腸)ってどんな症状?

急性虫垂炎の典型的な症状は、食欲低下→心窩部(みぞおち)から臍(へそ)周囲の痛み→悪心(吐き気)・嘔吐→右下腹部に痛みが移動→37度の微熱の順に出現します。

歩いた時にお腹に痛みが響く場合は、腹膜炎を起こしている可能性が高く、速やかに受診することをお勧めします。

発症から2日以上経過、38℃以上の発熱、お腹全体が痛む時は、虫垂が穿孔していたり、膿瘍形成していることが疑われます。

急性虫垂炎(盲腸)は何科に受診すればいいか?

典型的な症状であれば、外科(消化器外科)を受診すれば良いのですが、腹痛の原因は多種多様で自己診断は難しいです。まずは、内科(消化器内科)を受診し、急性虫垂炎が疑われた時点で外科に紹介されるケースがほとんどです。痛みが強い時は、救急車で救急外来に受診されることも多いです。

急性虫垂炎(盲腸)の診断にどんな検査をするか?

CT

急性虫垂炎を診断するためには、腹部の触診を行い、圧痛の部位や痛みの程度などを診ます。

血液検査で白血球数、CRPを測定し、炎症の程度を確認します。造影CT検査(感度95%、特異度96%)で、腫大した虫垂を確認することで、虫垂炎と診断します。糞石(便の固まり)による閉塞が原因の時は、糞石がCT検査で確認できることもあります。腹部超音波検査やMRI検査を行うこともあります。

急性虫垂炎以外の病気の可能性は?

急性虫垂炎と鑑別が必要な病気としては、約1%ですが虫垂腫瘍(癌、カルチノイド、粘液性腫瘍など)の可能性があります。

また、急性腸炎、大腸憩室炎、メッケル憩室炎、炎症性腸疾患、腸管穿孔、大腸がん、尿管結石、産婦人科疾患など様々な病気の可能性があります。

急性虫垂炎(盲腸)のガイドライン

本

現時点では日本のガイドラインはありません。

国際的なガイドラインは「WSES Jerusalem guidelines for diagnosis and treatment of acute appendicitis 2016」があります。
» 国際的なガイドライン(フリー、英語)はこちら

まとめ:右下腹部痛は急性虫垂炎の典型的な症状の一つです。

この記事のポイントをまとめます。

  • 急性虫垂炎は、腹痛の中で手術になりうる、最も頻度の高い腹部救急疾患です。
  • 急性虫垂炎の典型的な症状は、食欲低下→心窩部から臍周囲の痛み→悪心・嘔吐→右下腹部痛→微熱の順に出現します。
  • 造影CT検査で腫大した虫垂を確認することで、診断します。
松下公治 写真

松下「腹痛の原因は多種多様ですので、我慢せず早めに受診し、主治医によく相談することが大切です。」

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