【5分でわかる】急性胆嚢炎になったら、まず知っておきたいこと

5分でわかる病気のこと

疑問

急性胆嚢炎になった患者「急性胆嚢炎になってしまいましたが、まず知っておいた方がいいことは何ですか?」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

急性胆嚢炎は食後にみぞおちや右上腹部が痛くなった時に、まず考える病気で、基本的には手術で治します。
急性胆嚢炎になってしまった患者さんが、まず知っておいた方がいいことを、5分程度でわかるように簡潔に説明します。

急性胆嚢炎を数多く診て手術してきた私が、「急性胆嚢炎とは何ですか?」という疑問に答えます。

急性胆嚢炎とは?

書斎

急性胆嚢炎とは、胆石などが原因で胆嚢に胆汁がうっ滞し、細菌感染を起こす病気です。90%以上は胆石が原因で、50〜60歳代や女性、肥満の人に多い病気です。

悪化すると、胆嚢の壁が腐ってしまい(壊疽性胆嚢炎)、胆汁が周囲に漏れ出て(胆嚢穿孔)、そして周囲に膿が貯まります(胆嚢周囲膿瘍)。また、細菌が全身に広がり、敗血症になってしまうと、全身状態が悪化し、命に関わることもあります。

胆嚢とは何ですか?

胆嚢(たんのう)とは、右上腹部にある臓器で、胆汁を貯めておき、食物の刺激で収縮して胆汁という消化液を分泌しています。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通り十二指腸に分泌され、脂肪を消化します。胆管の途中に胆嚢があり、胆汁を濃縮貯蔵しておくための袋の役割をしています。

胆石とは何ですか?

胆石とは、胆嚢内にできた結石(石)のことです。砂のような結石から、数cmの結石まで様々です。

急性胆嚢炎ってどんな症状?

本

脂っこいものを食べた後に、右上腹部痛(右季肋部痛)やみぞおちの痛み(心窩部痛)が出現します。痛みは右肩や右背中に広がることがあります。更に、発熱、悪心(吐き気)、嘔吐、食欲不振などがあります。

血液検査で白血球数やCRP上昇などの炎症所見があり、腹部超音波検査や腹部CT検査で胆嚢壁の肥厚、胆嚢の腫大、胆石などがみられます。

他に考えられる主な病気は?

胆石発作:胆石が原因で、食後に右上腹部痛を引き起こしますが、1時間ぐらいで治まります。
急性胆管炎:胆管に結石などが詰まり、細菌感染を起こす病気です。
急性膵炎:膵臓が自らの消化液で溶けてしまう病気で、上腹部痛や背部痛があります。
胃・十二指腸潰瘍:胃や十二指腸に潰瘍ができる病気です。
大腸憩室炎:大腸憩室が細菌感染を起こす病気です。

胆嚢癌の可能性はありますか?

急性胆嚢炎に胆嚢癌が合併している頻度は、1〜1.5%程度と言われています。高齢者は頻度が高いので、注意が必要ですが、術前にはわからないことが多いです。

急性胆嚢炎の治療法は?

手術

急性胆嚢炎の3つの治療法

  • 手術で胆嚢を摘出(腹腔鏡下胆嚢摘出術)
  • 抗生剤治療
  • 経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)

発症から時間が経っておらず、手術リスクがそれほど高くなければ、早期に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。

腹腔鏡下胆嚢摘出術は、全身麻酔下にお腹に4ヶ所穴を開け、腹腔鏡という5mmのスコープを用いて胆嚢を摘出します。開腹手術に比べると、傷が小さく、回復が早いのが利点です。胆嚢を体外に取り出すため、臍の傷は約2cmになります。炎症が高度の場合は、途中で開腹手術に移行することがあります。手術時間は約1時間、翌日から食事を開始し、術後2日目に退院となります。退院後は日常生活に制限はありませんが、脂っこいものはしばらく控えた方がいいです。吸収糸で縫いますので、抜糸は不要です。

時間が経過していたり重症な場合は、全身管理抗生剤治療と、必要に応じて経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)を行い、炎症が治まった時点で、手術を検討します。

胆嚢を手術で取っても大丈夫ですか?

胆嚢は胆汁を濃縮貯蔵しておくための臓器です。胆嚢を摘出しても、胆汁は今まで通りに分泌されますので、ほとんど影響はありません。手術直後は脂っこいものを食べると軟便や下痢をする人がいますので、少し控えめにした方がいいです。

腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症は?

術中合併症として、胆管損傷、出血、他臓器損傷などがあります。術後合併症として、後出血、胆汁漏、創感染、肩痛、皮下気腫などがあります。

急性胆嚢炎のガイドライン

急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(医学図書出版)が急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会等から出版されています。個々の治療方法は病状によって異なることもありますが、基本的にはガイドラインに沿って治療を行います。
» 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018はこちら

まとめ:急性胆嚢炎では、手術リスクがそれほど高くなければ、早期に腹腔鏡下手術が勧められます。

この記事のポイントをまとめます。

  • 急性胆嚢炎とは、胆石などが原因で胆嚢に胆汁がうっ滞し、細菌感染を起こす病気です。
  • 急性胆嚢炎の症状は、油っこいものを食べた後に、右上腹部痛が出現し、発熱、悪心、嘔吐、食欲不振などがあります。
  • 発症から時間が経っておらず、手術リスクがそれほど高くなければ、早期に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。
松下公治 写真

松下「急性胆嚢炎でまず知ってほしいポイントをお話ししました。病状や年齢、基礎疾患などによって、個々の治療方針は違ってきますので、主治医とよく相談することが大切です。」

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