虫垂炎(盲腸)の腹腔鏡による日帰り手術とは?

虫垂炎

疑問

虫垂炎を抗菌薬で散らして良くなった患者「急性虫垂炎と診断され、抗菌薬で散らしました。再発する前に、日帰りで手術ができるって本当ですか?」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

穿孔していない急性虫垂炎であれば、90%程度は抗菌薬で散らすことができます急性虫垂炎では迅速な手術が勧められますが、急に発症する病気でもあり、抗菌薬で散らす選択をすることもあります。抗菌薬で散らした後に気になるのが、再発です。

腹腔鏡による日帰り手術を専門としている私が、「再発する前に、日帰りで手術ができますか?」という疑問に答えます。

急性虫垂炎(盲腸)を抗菌薬で散らした後、放っておいて大丈夫?

診察

急性虫垂炎で手術をしなかった場合は、虫垂が残っているため、再発のリスク(治療後1年以内に約30%)腫瘍のリスク(約1%)が残っています。

再発については、次回再発した時に手術することが多いです。ただし、いつ再発するかを予想できないのが問題です。若い人に多い病気ですので、試験などの大切なイベント、大切な仕事、海外渡航中などのタイミングで発症するリスクが問題となります。

腫瘍については、高齢の場合に頻度が高くなります。約1%と頻度は低いので、それほど心配する必要はありませんが、もし腫瘍であった場合は命に関わる可能性もあるので、注意が必要です。

腹腔鏡による虫垂炎(盲腸)の日帰り手術とは?

手術

日帰り手術とは、手術したその日に帰宅する手術ことです。日常生活を続けたまま手術を受けられることが大きなメリットで、費用対効果に優れていることもあり欧米では積極的に行われています。

日本ではまだ虫垂炎に対する日帰り手術はほとんど行われておらず、学術論文による報告もありません。虫垂を切除する場合は3-7日入院するが一般的です。一方、欧米では日帰り手術が安全に行われており、学術論文でも多数報告があります。

日帰り手術の利点は?

  • 仕事など、日常生活を続けたまま手術が受けられる。
  • 病院に滞在する時間が短かい。
  • 費用対効果に優れている。効率的に医療を提供でき、コストが減る。

日帰り手術の欠点は?

  • 日帰り手術が可能な手術や施設が限られている。
  • 持病や病状によっては、安全性を確保するために入院が必要となる。
  • 日帰り手術の予定であっても、術後の病状によっては入院が必要となることがある。

日帰りで虫垂炎(盲腸)の手術をしても大丈夫?

家族

一般病院では虫垂炎の日帰り手術は行っておらず、その仕組みもないので難しいです。日帰り手術に特化した病院やクリニックで、腹腔鏡による日帰り手術の経験が豊富なところで行うことを勧めます。

日帰り手術を安全に行うためには、術前・術後のフォローの仕組みや麻酔方法が定型化されていることが大切です。そうした仕組みが整っていれば、入院の場合と同等の安全な手術が可能です。

腹腔鏡下手術は痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術の組み合わせは理想的です。痛みの強さは傷の数はあまり関係なく、傷の大きさが大きく関係してきます。そのため、私の場合は5mmの傷が3ヶ所と小さくすることで(通常臍の傷は12mmです)、痛みを少しでも減らし、体の負担が最小限なるように工夫しています。

東京外科クリニックでは、待機的手術に限定して日帰り手術を行っています。待機的手術とは、急性虫垂炎を抗菌薬で散らし、後日予定手術として虫垂を切除することです。一旦炎症が治まってしまうと、虫垂の腫れは軽度で、手術は短時間で終わり、体の負担も少ないため、腹腔鏡による日帰り手術が可能で、術後60分程度で帰宅できます。
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日帰り手術を安全に行うために

日帰り手術を受けるにあたっては、安全に日帰り麻酔を行えることが絶対条件です。持病や病状によっては希望にそえず、局所麻酔による手術や入院を勧めさせていただくこともあります。

なぜ日本では日帰り手術を行う施設が少ないのか?

欧米とは保険制度が違うことや、入院費用が欧米と比べると格段に安く金銭的な負担が少ないこと、病院にとって収益上のメリットがないこと、日帰り手術に興味を持つ外科医が少ないことなどが推測されます。しかし、患者さんからのニーズが高いことは日々実感しており、満足度も高いため、日本においても日帰り手術を行う施設が増えることを期待しています。

まとめ:虫垂炎(盲腸)は待機的手術であれば、日帰り手術が可能です。

この記事のポイントをまとめます。

  • 日帰り手術とは、手術したその日に帰宅する手術ことです。
  • 抗菌薬で散らした場合は、再発と腫瘍のリスクが残ります。
  • 再発する前に、日帰りで手術することが可能です。
松下公治 写真

松下「虫垂炎治療の選択肢の一つとして、日帰り手術があります。病状や年齢、基礎疾患などによって、個々の治療方針は違ってきますので、主治医とよく相談することが大切です。」

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