日帰り手術とは
日帰り手術とは、手術したその日に帰宅する手術ことです。日常生活を続けたまま手術が受けられることが大きなメリットで、費用対効果に優れていることもあり欧米では積極的に行われています。
日本では入院して手術を行うのが一般的で、低侵襲で体の負担が少ない手術でも数日入院していました。しかし、患者さんのニーズや、医療の効率化から日帰り手術の有用性が見直されています。
一方、欧米では既に日帰り手術が標準となっている病気も多く、入院手術においても在院日数が短い傾向があります。
日帰り手術の利点は?
- 入院する必要がなく、仕事などの日常生活を続けられる。
- 電話などを使った遠隔でのフォローが充実している。
- 病院に滞在する時間が短かい。
- 費用対効果に優れている。費用が安い。
日帰り手術の欠点は?
- 日本ではまだ一般的ではなく、一部の地域でしか日帰り手術が受けられない。
- 疾患や病状によっては、安全性を確保するために入院が必要となる。
- 医療保険の契約内容によっては、入院しないと給付金がもらえないことがある。
- 医療費負担が軽い日本では、入院したとしても費用負担が軽い。
日帰り手術が可能な外科疾患は?
- 鼠径ヘルニア修復術
- 虫垂切除術
- 胆嚢摘出術
- 大腿ヘルニア修復術
- 腹壁瘢痕ヘルニア修復術
- 臍ヘルニア修復術
- 肛門手術
他にも、外来診察室での小手術や、大腸内視鏡による大腸ポリープ切除などがあります。
腹腔鏡による日帰り手術とは?
腹腔鏡下手術は全身麻酔のため、日本においては入院することが一般的でした。しかし、低侵襲で体の負担が少ない手術では、日帰り手術も可能です。
腹腔鏡下手術は痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術の組み合わせは理想的です。少しでも快適に苦痛なく手術を受けたいという患者さんのニーズに合っていると感じています。
私自身は、鼠径ヘルニア修復術、虫垂切除術、胆嚢摘出術、大腿ヘルニア修復術、腹壁瘢痕ヘルニア修復術、臍ヘルニア修復術の日帰り手術を行っています。どれも腹腔鏡を使った手術で、東京外科クリニックで行っています。個人差がありますが、術後60分程度で帰宅できます。
日帰りで手術をしても大丈夫?
一般病院では日帰り手術は行っておらず、その仕組みもないので難しいです。日帰り手術に特化した病院やクリニックで、腹腔鏡による日帰り手術の経験が豊富なところで行うことを勧めます。
日帰り手術を安全に行うためには、術前・術後のフォローの仕組みや麻酔方法が定型化されていることが大切です。そうした仕組みが整っていれば、入院の場合と同等の安全な手術が可能です。
日帰り手術を受けるにあたっては、安全に日帰り麻酔を行えることが絶対条件ですので、持病や病状によっては入院を勧めさせていただくこともあります。
なぜ日本では日帰り手術を行う施設が少ないのか?
欧米とは保険制度が違うことや、入院費用が欧米と比べると格段に安く金銭的な負担が少ないこと、病院にとって収益上のメリットがないこと、日帰り手術に興味を持つ外科医が少ないことなどが推測されます。しかし、患者さんからのニーズが高いことは日々実感しており、満足度も高いため、日本においても日帰り手術を行う施設が増えてきています。
まとめ:腹腔鏡による日帰り手術が、日本においても受けられるようになりつつあります。
・ 腹腔鏡下手術は傷が小さく、痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術との組み合わせは理想的です。
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