鼠径ヘルニア(脱腸)のよくある質問

鼠径ヘルニア

疑問

鼠径ヘルニアについて質問がある患者「鼠径ヘルニアについて質問がありますので、教えて下さい。」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

数多くの鼠径ヘルニアを診てきた外科医の私が、鼠径ヘルニアの質問についてわかりやすく答えます。

鼠径ヘルニア(脱腸)とは?

鼠径(そけい)ヘルニアとは、足のつけ根(鼠径部)のお腹の壁が弱くなり、そこから腸がぽっこり出てくる病気のことです。俗に脱腸と言います。

鼠径ヘルニア(脱腸)の原因はなんですか?

多くは加齢に伴って腹壁の組織が弱くなり、そこから腸管が脱出してしまうことが原因です。また、立ち仕事が多かったり、腹圧がかかる重いものを持つ仕事も原因の一つに挙げられます。肥満や喫煙も一因と報告されています。

鼠径ヘルニア(脱腸)はどんな症状ですか?

立ち上がったりお腹に力を入れると、足のつけ根(鼠径部)がぽっこり膨らみ、手で押したり横になると戻ります。大きさはピンポン球から卵ぐらいのことが多いです。立って足のつけ根を見ると、膨らみに左右差が見られます。大きくなると足のつけ根から陰嚢まで腫れてしまうこともあります。

鼠径ヘルニア(脱腸)は何科に受診すればいいですか?

近くの病院に鼠径ヘルニア専門外来があれば最適です。もし無くても、外科(消化器外科)に受診すれば、ほとんどの病院で対応可能です。病院に電話で問い合わせてもいいでしょう。

足のつけ根に膨らみはなく、痛みだけの場合は、鼠径ヘルニア(脱腸)ですか?

鼠径ヘルニアの初期症状として痛みや重い不快感だけを自覚することがあります。ただし、膨らみがはっきりしない時は、内科や泌尿器科、整形外科の疾患の可能性も高くなりますので、必要に応じて検査を行います。

足のつけ根に腫瘤(しこり)が触れる場合は、鼠径ヘルニア(脱腸)ですか?

豆のような腫瘤(しこり)を自覚し、手で押しても戻らないことがあります。リンパ節腫大やヌック管水腫、皮膚科疾患(腫瘍や膿瘍)など様々な原因が考えられますので、必要に応じて検査を行います。

鼠径ヘルニア(脱腸)は自然に治ることがありますか?

大人の場合は自然に治りません。腸管が脱出する部位には筋肉がありませんので、筋トレをしても治りません。また、ヘルニアバンドで押さえても、手でおさえているのと同じ状態ですので、治ることはありません。残念ながら、手術以外に治療法はありません。通常、徐々に悪化していきます。

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術をしないと、嵌頓(かんとん)しないか心配ですが大丈夫ですか?

腸管が脱出し、締め付けられたまま戻らなくなった状態が嵌頓です。足のつけ根の膨らみが硬くなり、横になっても手で押しても戻らない状態です。腸閉塞、腸管壊死、腸管穿孔を起こし命に関わるので、緊急手術が必要になります。嵌頓するリスクは1年間で0.3〜3%程度ですので、それほど心配する必要はありませんが、発症した場合は急を要しますので、すぐに救急外来に受診してください。

鼠径ヘルニア(脱腸)を手術しないで、放っておいても大丈夫ですか?

緊急性はありませんが、徐々に悪化することが多く、自然に治ることはないので、悪化しないうちに手術することをお勧めします。しかし、症状が軽ければ、嵌頓と悪化のリスクを十分に理解した上で、慎重に経過をみることも許容されます。

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術は、どんな麻酔をしますか?

基本的には全身麻酔をして手術をします。完全に寝ている状態ですので、手術中に意識は全くなく、痛みも全くありません。全身麻酔のリスクが高い場合は、その人にあった麻酔法を検討します。

鼠径ヘルニア(脱腸)における腹腔鏡下手術と鼠径部切開法の違いは?

腹腔鏡下手術の利点は、傷が小さく、痛みが軽く、社会復帰が早く、同じ傷で両側手術できることです。鼠径部切開法の利点は、手術時間が短く、術者が習熟するのが早く、全国どこでも手術が受けられることです。

鼠径ヘルニア(脱腸)の入院期間はどのくらいか?

腹腔鏡下手術は術後1日程度、鼠径部切開法は術後2,3日程度です。どちらも日帰り手術が可能で、腹腔鏡下手術では手術が終わって約60分後に帰宅可能です。

鼠径ヘルニア(脱腸)は日帰りで手術することができますか?

日本では鼠径ヘルニアの日帰り手術は一部の施設に限られています。日帰り手術に特化した病院やクリニックでは、安全に手術が受けられます。

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術後は痛みますか?

腹腔鏡下手術の場合は、小さい穴だけですので痛みは少なく、手術後は普通に歩けることがほとんどです。しかし、痛みには個人差がありますので、大したことない人もいれば、結構痛くなってしまう人もいます。必要に応じて痛み止めの薬も使い、苦痛を減らせるように管理しています。

松下公治 写真

松下「鼠径ヘルニアのよくある質問に答えました。病状や年齢、基礎疾患などによって、個々の治療方針は違ってきますので、主治医とよく相談することが大切です。」

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