【5分でわかる】鼠径ヘルニア(脱腸)になったら、まず知っておきたいこと

鼠径ヘルニアになった患者「鼠径ヘルニアになってしまいましたが、まず知っておいた方がいいことは何ですか?」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
鼠径ヘルニアは頻度の高いよくある病気ですが、知らない人も結構多い病気です。
鼠径ヘルニアになってしまった患者さんが、まず知っておいた方がいいことを、5分程度でわかるように簡潔に説明します。
鼠径ヘルニアを専門としている私が、「鼠径ヘルニアとは何ですか?」という疑問に答えます。
鼠径ヘルニア(脱腸)とは?

鼠径(そけい)ヘルニアとは、足のつけ根(鼠径部)のお腹の壁が弱くなり、そこから腸がぽっこり出てくる病気のことです。俗に脱腸と言います。放っておくと大きくなったり、痛みが強くなったり、嵌頓(かんとん)して出たまま戻らなくなることがあります。
多くは加齢に伴ってお腹の壁が弱くなり、そこから腸管が脱出してしまうことが原因です。
鼠径ヘルニア(脱腸)ってどんな症状?

立ち上がったりお腹に力を入れると、上図のように足のつけ根(鼠径部)がぽっこり膨らみ、手で押したり横になると戻ります。大きさはピンポン球から卵ぐらいのことが多いです。立って足のつけ根を見ると、膨らみに左右差が見られます。大きくなると足のつけ根から陰嚢まで腫れてしまうこともあります。
重い感じや鈍い不快感を伴うことがあり、長時間立っていたり、腹圧がかかると悪化し、横になると楽になります。
頻度は稀ですが、出たまま戻らなくなる(嵌頓)してしまうと、腸が壊死・穿孔したり、腸閉塞になるため、緊急手術をしなければ命に関わります。
鼠径ヘルニア(脱腸)の治療法は?

大人の場合、自然治癒することはありません。鼠径ヘルニア専門外来、外科、消化器外科を受診してください。
鼠径ヘルニアの治療法は手術で、それ以外にはありません。メッシュで穴を塞ぐ手術が標準治療です。
鼠径ヘルニア(脱腸)にどの手術を選ぶか?

鼠径ヘルニアの手術は、腹腔鏡下手術と鼠径部切開法に大きく分けられます。私自身は腹腔鏡下手術のTAPP法を一番に選んでいます。
TAPP法は傷が小さく、術後の痛みが少なく、社会復帰が早いなど、メリットが多い術式です。なにより、これまで様々な術式をやってきた中で、患者さんの満足度が最も高かったことがこの術式を選んでいる一番の理由です。
また、鼠径ヘルニアは日帰り手術といって、手術したその日に帰宅する手術が可能です。腹腔鏡下手術は傷が小さく、痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術との組み合わせは理想的です。
まとめ:鼠径ヘルニアでは、腹腔鏡による日帰り手術が可能です。
この記事のポイントをまとめます。
- 鼠径ヘルニアは、足のつけ根(鼠径部)が膨らんで、腸がぽっこり出てくる病気です。
- 立ち上がると鼠径部がぽっこり膨らみ、押すとクチュクチュッと戻る場合は、鼠径ヘルニアと診断できます。
- 治療は手術以外になく、メッシュで穴を塞ぎます。
- 腹腔鏡下手術は傷が小さく、痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術との組み合わせは理想的でおすすめです。

松下「鼠径ヘルニアでまず知ってほしいポイントをお話ししました。病状や年齢、基礎疾患などによって、個々の治療方針は違ってきますので、主治医とよく相談することが大切です。」
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