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胃に潜んでいるピロリ菌【胃がんを予防するには?】

質問者
「ピロリ菌を除菌したほうが良いと言われましたが、ピロリ菌とは何ですか?」
外科医 松下
「ピロリ菌は胃に感染する菌です。ピロリ菌に関する疑問に答えます。」

ピロリ菌とは

顕微鏡

ピロリ菌とは、ヘリコバクター・ピロリという胃の粘膜に感染する菌です。

胃内は強い酸性なので、細菌はいないと考えられていました。しかし、1982年に胃内にピロリ菌という細菌が発見されました。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌することで、尿素からアンモニアを作り出して胃酸を中和し、胃内に生存しています。

明らかな感染経路はわかっていませんが、子どもの時に口から侵入して感染することが多く、一度感染すると感染は持続するといわれています。ピロリ菌に感染している人は、世界で約50%、日本で約35%です。

ピロリ菌は胃粘膜に感染し、ピロリ感染胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、リンパ腫、胃過形成性ポリープなど様々な病気を引き起こします。

ピロリ菌の主な診断法

  • 迅速ウレアーゼ試験:内視鏡検査で組織を生検。すぐに結果が出る。
  • 尿素呼気試験:呼気(吐いた息)で検査。除菌の判定に有用。
  • 抗体検査:血液や尿で検査。過去の感染でも陽性となることがある。
  • 便中抗原検査:便で検査。除菌の判定に有用。

ピロリ菌の診断法はいくつかありますので、個々で最適な検査を選ぶ必要があります。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ感染胃炎に対するピロリ菌の除菌治療は、保険適応になります。ただし条件として、検査でピロリ菌が陽性であることと、内視鏡検査でピロリ感染胃炎であることを確認する必要があります。

胃薬と2種類の抗菌薬を7日間内服します。除菌成功率は70%〜80%程度です。除菌終了後4週間以上経過したら、除菌できたかどうかを検査して判定します。除菌成功後に再感染することは稀です。

ピロリ菌の除菌治療が保険適応となる疾患

  • ピロリ感染胃炎
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 早期胃がんに対する内視鏡治療後胃のピロリ感染症
  • 胃MALTリンパ腫
  • 特発性血小板減少性紫斑病

ピロリ菌感染と胃がんの予防

ピロリ菌感染が胃がんの主な原因といわれています。ピロリ菌に感染していないと、胃がんのリスクは低くなります。除菌することで、胃がんのリスクは低下します。

ピロリ菌に感染することによって、胃粘膜に炎症(胃炎)が起こり、胃粘膜の萎縮や腸上皮化生を引き起こし、胃がんのリスクが上昇すると考えられています。

日本は胃がんの発生率が高い地域です。ピロリ菌感染を発見して除菌することで、胃がんのリスクを低下させて予防することができます。

中学生を対象に尿検査によるピロリ菌感染のスクリーニング検査を行う自治体も出てきました。

がんになる人の数(罹患数)は、年々どのがんでも増えています。しかし、胃がんは年々その割合が低下しており、他のがんとは対称的です。

喫煙率の低下や、食生活の変化、衛生環境の改善など、様々な要因が考えられますが、ピロリ菌が発見されて除菌できるようになったことも、一因と考えられます。

がん予防の概説は、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがん予防」の冊子をダウンロードできます。がんは生活習慣や感染が原因となるので、できる対策を行うことが大切です。
» 国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん予防」

ピロリ菌感染のガイドライン

日本のピロリ菌感染のガイドラインは、H.pylori感染の診断と治療のガイドライン 2016改訂版(先端医学社)で、日本ヘリコバクター学会が公表しています。
» H.pylori感染の診断と治療のガイドライン 2016改訂版(フリー)

まとめ:ピロリ菌を除菌することで、胃がんなどの様々な病気のリスクが低下します。

・ ピロリ菌とは、ヘリコバクター・ピロリという胃の粘膜に感染する菌です。
・ ピロリ菌は胃粘膜に感染し、ピロリ感染胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、リンパ腫、胃過形成性ポリープなど様々な病気を引き起こします。
・ ピロリ菌を除菌するには、胃薬と2種類の抗菌薬を7日間内服します。

 

外科医 松下
「胃がん検診で胃内視鏡検査を受けることは重要ですが、ピロリ菌感染を確認することも大切です。」
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