鼠径ヘルニア(脱腸)の腹腔鏡による日帰り手術とは?

鼠径ヘルニア

質問

鼠径ヘルニアと診断された患者「鼠径ヘルニアと診断され、手術を受ける予定です。日帰りで手術できるって本当ですか?」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

鼠径ヘルニアの日帰り手術をご存知でしょうか?
以前は1週間近く入院して手術することもあった病気ですが、今では日帰りで手術することが可能です。

日帰り手術を専門としている私が、「日帰り手術って何ですか?大丈夫かな?」という疑問に答えます。

腹腔鏡による鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術とは?

聴診器

日帰り手術とは、手術したその日に帰宅する手術ことです。日常生活を続けたまま手術が受けられることが大きなメリットで、費用対効果に優れていることもあり欧米では積極的に行われています。

鼠径ヘルニアにおける日帰り手術の割合は、欧米各国では20〜92%程度であるのに対し、日本ではたったの1%しか行われていないのが現状です。

日本ではまだ鼠径ヘルニアに対する日帰り手術はほとんど行われておらず、学術論文による報告もありません。鼠径ヘルニアの手術をする場合は2-7日入院するが一般的です。一方、欧米では日帰り手術が安全に行われており、学術論文でも多数報告があります。

日帰り手術の利点は?

  • 仕事など、日常生活を続けたまま手術が受けられる。
  • 病院に滞在する時間が短かい。
  • 費用対効果に優れている。効率的に医療を提供でき、コストが減る。

日帰り手術の欠点は?

  • 日帰り手術が可能な手術や施設が限られている。
  • 持病や病状によっては、安全性を確保するために入院が必要となる。
  • 日帰り手術の予定であっても、術後の病状によっては入院が必要となることがある。

なぜ鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り手術を腹腔鏡で行うのか?

基盤

鼠径ヘルニアには多くの術式があり、病状にもよりますが、基本的にはどの術式も選択可能です。その中でもTAPP法による腹腔鏡下手術が選ばれる理由は何でしょうか?

第一に、日本だけでなく、国際的なガイドラインにおいて推奨されている術式です。ガイドラインで推奨されるためには、十分なデータが必要ですので、信頼できる術式であると言えます。

第二に、何より手術を受けた患者さんから感想を伺うと、満足度が高いことです。腹腔鏡による手術は傷が小さく、術後の痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術との組み合わせは理想的です。少しでも快適に苦痛なく手術を受けたいという患者さんのニーズに合っていると感じています。

東京外科クリニックでは、鼠径ヘルニアの腹腔鏡による日帰り手術を行っています。個人差がありますが、術後60分程度で帰宅できます。
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日帰りで鼠径ヘルニア(脱腸)の手術をしても大丈夫?

疑問

日本のガイドラインは?

日帰り手術は、腹腔鏡下手術、リヒテンシュタイン法、プラグ法、クーゲル法、ダイレクトクーゲル法、組織縫合法が適応となる。

国際的なガイドラインは?

日帰り手術は、適切なアフターケアがあれば、大部分の鼠径ヘルニア患者に推奨され、通常の鼠径ヘルニアの全ての腹腔鏡下手術に対して提案される。

一般病院では鼠径ヘルニアの日帰り手術は行っておらず、その仕組みもないので難しいです。日帰り手術に特化した病院やクリニックで、腹腔鏡による日帰り手術の経験が豊富なところで行うことを勧めます。

日帰り手術を安全に行うためには、術前・術後のフォローの仕組みや麻酔方法が定型化されていることが大切です。そうした仕組みが整っていれば、入院の場合と同等の安全な手術が可能です。

腹腔鏡下手術は痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術の組み合わせは理想的です。傷を小さくしたり、タッカーというメッシュの固定具を使わないことで痛みを減らし、より体の負担が最小限なるように工夫しています。

鼠径ヘルニア手術の費用は?

保険診療ですので、手術などの単価は全国一律です。ただし、日帰り手術の場合は入院費用が不要であるため、その分だけ安くなります。保険の種類や収入によって自己負担額は変わりますので、ご希望の方は事前に受付窓口で概算を確認することできます。

日帰り手術を安全に行うために

日帰り手術を受けるにあたっては、安全に日帰り麻酔を行えることが絶対条件です。持病や病状によっては希望にそえず、局所麻酔による手術や入院を勧めさせていただくこともあります。

なぜ日本では日帰り手術を行う施設が少ないのか?

欧米とは保険制度が違うことや、入院費用が欧米と比べると格段に安く金銭的な負担が少ないこと、病院にとって収益上のメリットがないこと、日帰り手術に興味を持つ外科医が少ないことなどが推測されます。しかし、患者さんからのニーズが高いことは日々実感しており、満足度も高いため、日本においても日帰り手術を行う施設が増えることを期待しています。

まとめ:鼠径ヘルニアでは、腹腔鏡による日帰り手術が可能です。

この記事のポイントをまとめます。

  • 日帰り手術とは、手術したその日に帰宅する手術ことです。
  • 腹腔鏡下手術は傷が小さく、痛みが少なく、社会復帰が早いため、日帰り手術との組み合わせは理想的です。
松下公治 写真

松下「鼠径ヘルニアの治療の選択肢の一つとして、日帰り手術があります。病状や年齢、基礎疾患などによって、個々の治療方針は違ってきますので、主治医とよく相談することが大切です。」

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