自分の手術を説明する言葉は、自分で書くしかない。
それが、クリニックのホームページを自作した理由だ。
構築も執筆も、すべて自分で
埼玉外科クリニックのホームページは、すべて私が自作し、運営している。
記事の執筆だけではない。
サイトの構築も、自分で行った。
開業すると決めたとき、ホームページをどうするかは考えるべきことの一つだった。
制作会社に依頼するという選択肢も、当然あった。
むしろ、それが一般的だと思う。
それでも、自分でつくることを選んだ。
始まりは、Wixで始めた個人ブログだった
自作に踏み切れたのは、下地があったからだ。
開業より前の2016年、私はこのブログを始めた。
使ったのは、WordPressではなくWixだった。
webについては、まったくの素人だった。
Wixなら無料で試せて、直感的に操作できる。
まずは始めることを優先した。
振り返っても、最初はWixでよかったと思う。
はじめからWordPressにこだわっていたら、
開設する前に手が止まっていたかもしれない。
記事が増えるにつれて、限界が見えてきた。
動作が重くなり、管理もしづらくなった。
そこで、WordPressに移ることにした。
うまくいかなければ、Wixに戻ればいい。
そう考えられたから、思い切って移れた。
調べて、試して、少しずつ覚えた。
その積み重ねが、2022年の開業のときに生きた。
クリニックのホームページは、はじめからWordPressで自作した。
専門的なコードを書けなくても、サイトの骨組みは用意できる。
実際にやってみて、思っていたより負担は小さかった。
一番の理由は、自分の言葉で伝えたかったから
手間をかけてでも自作した一番の理由は、自分の言葉で伝えたかったからだ。
私が行っている診療と手術を、よく知ってもらいたい。
そのうえで、十分に理解して手術を受けてほしい。
手術を受けるかどうかは、患者さんにとって大きな決断だ。
その判断材料になる説明を、他人の言葉に任せたくなかった。
外来で話せる時間には限りがある。
診察室では、緊張して聞きたいことを聞けない人もいる。
帰ってから、説明の中身を思い出せない人もいる。
あらかじめ読んでおけば、診察室での時間を確認と質問に使える。
家に帰って読み返せば、家族にも説明しやすい。
書いた文章は、外来の説明を補うもう一つの説明になる。
書く人と、執刀する人を一致させる
クリニックを始めた理由の一つは、外来の主治医と執刀医を自分自身で一致させることだった。
病院では、外来で説明する医師と実際に執刀する医師が異なることは珍しくない。
ホームページも同じだと考えている。
説明を書く人と、手術をする人が同じであること。
そうであれば、書いてあることと実際に行われることのあいだに、ずれは生まれにくい。
だから、執刀経験や学会発表、論文もホームページで公開している。
現在の手術の動画も公開している。
自分が何をしてきて、今何をしているのか。
それを示すのは、執刀する本人の役目だと思う。
直接診られない人にも届く
もう一つの理由がある。
直接診療できない人にも、情報を届けられることだ。
一人の外科医が診られる患者さんの数には限りがある。
遠方に住む人もいる。
まだ受診を迷っている人もいる。
ほかの医療機関で治療を受ける人もいる。
書いたものは、そうした人のところにも届く。
自分の病気を理解する手がかりになれば、それだけで書く意味はある。
その思いで書いている。
凝ったつくりより、中身で応える
私はwebについては素人だ。
デザインに凝ったサイトはつくれない。
見た目は、出来のよいテーマに任せればいい。
素人が見た目に時間をかけるより、中身に時間を使いたい。
中身については、手を抜かないと決めている。
読む人が求めているのは、見た目の華やかさより、自分の疑問への答えのはずだ。
そこには、現場で毎日手術をしている人間だからこそ書けることがある。
見た目で勝負できないなら、内容で応えるしかない。
それが、素人なりのやり方だ。
情報があふれる時代だからこそ
今は、病気についての情報がいくらでも手に入る。
検索すれば、答えらしきものはすぐに見つかる。
一方で、誰が書いたのかわからない情報も多い。
情報が多いほど、読む人はかえって迷う。
だからこそ、現場の医師が自分の名前で、自分の言葉で発信する意味があるはずだ。
誰が書いたかがはっきりしている情報は、それだけで一つの判断材料になる。
医療の情報は、読む人の判断に直結する。
だから、書いたことには責任が伴う。
名前を出して書く以上、誤りがあれば直す。
古くなった情報は更新する。
その手間を引き受けることも、発信する者の役目だと思う。
自作は、経営の判断でもあった
振り返ると、ホームページの自作は経営の判断でもあった。
自分で手を動かせば、書きたいことをすぐに形にできる。
診療の内容が変われば、すぐに書き直せる。
誰かに依頼して、待つ時間がない。
外注すれば、手間は省ける。
ただ、自分の考えを伝え、文章にしてもらい、確認して直す。
その往復にも時間はかかる。
そして最後に残る言葉は、少しだけ自分の言葉ではなくなる。
もちろん、すべてを自分でやることが正しいとは限らない。
得意な人に任せたほうがいい仕事は、たくさんある。
ただ、患者さんへの説明だけは、自分の手元に置いておきたかった。
道具の選び方も、同じだと思う。
最初から完璧なものを選ぶ必要はない。
小さく始めて、限界が来たら乗り換えればいい。
それは、ブログをWixからWordPressへ移したときに学んだことだ。
何を任せ、何を自分で持つか。
いつ、何を乗り換えるか。
その線引きも、経営者の仕事の一つなのだと思う。
まとめ
当院のホームページは、構築から執筆まで私が自作している。
2016年にWixで始めたこのブログを、WordPressへ移しながら覚えたこと。
その積み重ねが、開業のときに生きた。
自作した一番の理由は、自分の言葉で伝えたかったからだ。
執刀する本人が説明を書けば、書いてあることと行われることが一致する。
そして、直接診られない人にも情報が届く。
凝ったサイトはつくれない。
それでも、中身は充実させていく。
これからも、コツコツと発信を続けていく。
