効率の良い勉強法とは?外科医が試験と手術指導で身につけた学び方

学びは、使うことで身につく。
勉強も読書も、アウトプットを前提にすると効率が変わる。

目次

学ぶ前に、まず自分を診断する

外科医になってから、専門医や技術認定医など、いくつもの試験を受けてきた。
その中で、自分なりの学び方ができてきた。

勉強を始める前に、まずやることがある。
それは「診断」だ。

目標はどこにあり、自分はいまどこにいるのか。
これを把握する。
自分が学ぶときも、人に教えるときも同じだ。

目標は具体的にする。
この資格を取りたい、この試験に受かりたい、この手技をできるようになりたい。
そして、その目標に到達した人の経験や、何を学べばいいかを徹底的に調べる。

次に、目標に対して自分がどの位置にいるかを確かめる。
何がどこまでできていて、何ができていないのか。
指導者に見てもらってもいいし、テストの結果で確かめてもいい。
大事なのは点数より中身だ。

目標と現在地がわかれば、やるべきことは自然に見えてくる。
そして、この診断は一度で終わりではない。
学びながら何度も繰り返す。

勉強は山登りに似ている

勉強は、山の頂上を目指すことに似ている。

頂上が目標で、いま立っている場所が現状だ。
登山道はいくつもある。
どの道から登っても、頂上にたどり着けばいい。
なだらかな道もあれば険しい道もあり、あえて険しい道を選ぶ人もいる。

誰と、どの道を、どのくらいのペースで登るのか。
それを決めるには情報収集が欠かせない。
あとは歩き続けられれば、いずれ頂上に着く。

覚えるより、使うために学ぶ

私が意識しているのは、アウトプットを前提にした学び方だ。

知識を入れることを重視した勉強には、弱点がある。
入れたそばから忘れていくことだ。
増やそうとしても同時に減っていくので、蓄積はなかなか進まない。

そこで、知識をためることではなく、使うことを意識する。

手術はいくら見学しても、実際に執刀する経験には及ばない。
勉強も同じで、人に説明する、問題を解く、現場で試すことで、知識は自分のものになる。

内視鏡外科技術認定医を目指す医師の手術指導をしてきたが、教えることで一番学んでいたのは私自身だったと思う。
人に教えるとは、アウトプットしながら学ぶことなのだ。

はじめは、ひたすら真似をする

アウトプットの第一歩は、真似をすることだ。

ひたすら真似をすることで、基礎的な知識や技術が身につく。
手術も、まずは手本となる手術を真似るところから始まる。
自分なりの方法を考えるのは、基礎が身についた後でいい。

アウトプットのやり方は、人によって合う形が違う。
話す、書く、解く、実践する。
いろいろ試すうちに、自分なりの学び方ができあがっていく。

繰り返すことで、記憶は定着する

知識を入れるにも、ちょっとしたコツがある。
繰り返すことだ。

一冊を一か月かけて丁寧に一回やるより、短期間でさっと終わらせて何度も回すほうが記憶に残る。
覚えて、忘れて、覚え直す。
これを繰り返すほうが効率がいい。

そして、繰り返しの中身もアウトプットにする。
読み返すより、思い出して解く。
知識を入れるためにも、アウトプットを繰り返すことが効く。

本は目的を持って拾い読みする

読書でも同じことを意識している。
アウトプットを前提に読むようになって、本の読み方が変わった。

私は本を最初から最後まで熟読しない。
Webで調べものをする感覚に近い。
一つのサイトを隅々まで読まないように、全体を眺めながら必要なところを拾っていく。
表紙、目次、太字、図や表は丁寧に読む。

読む前には、必ず目的を決める。
何を知りたくて、読んだ後に何に使うのか。
これが決まっていると、拾うべき箇所が見えてくる。

同じテーマの本は数冊まとめて読む。
解説動画があれば先に見て、全体像をつかんでおく。
複数の本を並べると共通点が見え、本ごとの違いもわかり、理解が深まる。

読んだら、投げ返す

本を読むとき、私はキャッチボールを意識している。
球を受けたら、必ず投げ返す。

書かれていることを受け取るだけでなく、自分の経験と掛け合わせて考える。
そうして初めて、本の内容が自分の知識として使えるようになる。

以前は、たくさん線を引き、覚えようとして熟読していた。
しかし数日たてば、ほとんど忘れている。
知識をためておくのは、毎日少しずつデータが消えていくハードディスクに保存するようなものだ。

だから、読んだ内容は忘れてもいいと割り切った。
その代わり、誰かに話す、ブログに書く、実践してみる。
アウトプットの形は何でもいい。

受け身で読んだ知識は、たまっても使えない。
目的を持って読み、自分の頭で考えると、行動が変わり、役に立った実感が残る。
脳というOSを更新していく感覚に近い。

続けるには、習慣と興味を味方にする

学びを続けるのは、とても難しい。
しかし、続けた分の蓄積こそが大きな力になる。

続けるコツは、習慣にすることだ。
朝の一時間、通勤の時間、仕事終わりの一時間。
時間を決めて学ぶと、続けやすくなる。

もう一つは、興味のあることから始めることだ。
勉強が嫌いになる原因の一つは、やらされていることにあるのかもしれない。
好きでもないことを強いられるのは苦痛だ。

何にも興味がない人は、まずいない。
興味のあることなら、調べ尽くすこと自体が楽しくなる。
そこから本を読み、学びを広げていけばいい。

集めるより、探して考えて表現する

いまは情報があふれ、次々と書き換えられていく。
いくら集めても、きりがない。
だから私は、情報をためることを諦めた。

集めて、内にためこむ(Collect ⇒ Store)のではない。
探して、考えて、外へ表現する(Search ⇒ Consider ⇒ Express)。

必要なときに、必要な情報を探せること。
その情報をもとに筋道を立てて考え、判断できること。
得たことや自分の考えを、言葉や行動にして外へ表現できること。

これからの学びで大切なのは、この三つだと思う。

まとめ

学ぶ前に、目標と現在地を診断する。
そのうえで、知識をためるのではなく、使うことを前提に学ぶ。

真似から始め、繰り返し、人に説明し、実践する。
本は目的を持って拾い読みし、自分の経験と掛け合わせて投げ返す。
そして、習慣と興味を味方にして続ける。

手術を見学するだけでは上達しないように、勉強も読書も、使って初めて自分のものになる。
忘れることを恐れず、使い続ければいい。

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この記事を書いた人

松下 公治のアバター 松下 公治 ヘルニア外科医

医療法人博文会理事長・埼玉外科クリニック院長
内視鏡外科技術認定医(ヘルニア)
執刀5,500件以上(うち鼠径ヘルニア2,500件以上)
外科医と経営者の両面から、日帰り手術のあり方を問い続ける

プロフィール詳細

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